第35回 「集中力」谷川浩司
僕は、ついついぬるい時間を過ごしてしまいがちです。仕事中ですら集中力を欠き、うす~い時の流れに身をまかせてしまうことが多いもの。
前々から思ってたんですけど、武士が一騎打ちをするときとかって、物凄い密度の濃い時間がふたりには流れてんだろうなって。その場に身をおく気持ちはどんなものなのか知りたいなって思う一方で、そうした超濃密な時間を一度味わってしまうと、普通の生活の時間なんて希薄なものに感じられて脱力感を覚えてしまうのではないかとも思っています。
だから、宮本武蔵なんかは好んで死の危険がある決闘を何度も何度もやったのではないでしょうか。そこでしか、生きている実感を得られないというか、濃密時間中毒というか。
で、将棋師って武士に近いものがあるんじゃないかなって最近思うんです。面と向かって二人で黙々と真剣勝負をしてる。だから、自分は将棋はやらないんだけど、最近、棋士の本をやたら読みたくなるんです。
谷川さんは、以前著書をとりあげた羽生さんの最大のライバルって言われている人なんですけど、やっぱり勝負師だけあっていいこと言ってます。ちょっとだけ例をあげておきます。
・何事に対しても「できる」という方向で考えないと物事は進まないのである。「できる」という方向から攻めると、思わぬアイデアが生まれるものだ。
・勝負事では「三つのうち一つ勝てば……」と考えると、集中力が散漫になり、いい結果は出ないのである。
・苦労しないで効率よく強くなった人は、弱くなるのも早いものである。
なんか強い棋士が言っていると思うと「なるほどなぁ」って思います。これ、そのへんのオッサンに言われたらムカつくだけですよね。会社の上司とか、飲み屋で会った人とか。
将棋はじめようかな。
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